金融政策のフロンティア: 国際的潮流と非伝統的政策(2013)
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2013
非伝統的政策に代表される金融政策の新たな枠組みについて理論的に整理し、これからの金融政策を考える足掛かりを提供する。
『経済セミナー』の掲載論文を加筆・再編集した著作..教科書的スタイル80%、学術論文的スタイルを20%の混合スタイルの著作というところでしょうか。「教科書的」部分については、入門的記述も少なくありませんが、「フロンティア」というタイトルに示される通り、内外の有力研究者の先端的成果が随所に紹介されており、読み応えがあります。学術論文的スタイル20%というのは、引用・脚注の書き方でも学生たちの参考になるよう手本を示されたと思われる点が多々あるからです。 日米英欧の中央銀行が何を考え、何をしようとしているのが本書を通じてよく理解できる。政策発案側の内部を熟知している日銀出身の著者だからこそ、このような説得力ある本ができたのであろう。
但し、内容は心休まるものではない。現行の非伝統的金融政策の行く手は、それが非伝統的かつ大規模なものだけに、中央銀行も確信をもってはその収束を見通せていないように読み取れた。日銀もFRBも、金融危機後の海原で海図なき航海を余儀なくされているのであり、目的地に安全に到着できるのかどうかは手探りのようだ。加えて、政府の抱える巨額の財政赤字がある。
目次
第1章 金融政策の出発点 ──誰が・何を・どのように決めるのか
第2章 金融調節と短期金利の誘導 ──中央銀行は短期金利をどのように誘導するのか 第3章 金利の期間構造と金融政策 ──政策金利の誘導と長期金利はどう関係しているか 第4章 金融政策とリスク・プレミアム ──金融危機前後で位置づけはどう変化したか 第5章 金融政策と為替レート ──なぜ中央銀行にとって為替レートは「扱いにくい」か 第6章 中央銀行と内外当局の政策協調 ──協調がうまくいくのはどういう場合か
第7章 財政の持続可能性と金融政策 ──政府債務累増と物価安定は両立するか 第8章 エピローグ──金融政策はどこに向かっているのか